コーヒー豆を挽き、お湯を注いで抽出するドリップコーヒーは、インスタントコーヒーと比べてコクのある味わいや深い香りが魅力です。
コーヒー愛飲者の中には、こだわりの豆と器具が家庭にそろっていて、美味しいドリップコーヒーを淹れて楽しむのが趣味という人もいるでしょう。

初心者の人でも淹れ方のポイントさえ押さえれば、自宅でカフェ並みの味を実現することが可能です。
この記事では、ドリップコーヒーの淹れ方と抽出する際に適した水、美味しく淹れるコツについてご紹介します。

【目次】

1. ドリップコーヒーの淹れ方

2. ドリップコーヒーに適した水とは?

3. ドリップコーヒーを美味しく淹れるコツ

4. ドリップコーヒーを淹れて、自宅で素敵なカフェタイムを

ドリップコーヒーの淹れ方

ドリップコーヒーを淹れるには、豆選びからコーヒーの抽出まで、さまざまな工程があります。
ここでは、ドリップコーヒーを淹れる基本的な流れをお伝えします。

●道具をそろえる
まずは、ドリップコーヒーを淹れるために必要な道具を準備します。主要な器具は以下のとおりです。

計量スプーン:粉状になった豆の分量を計測するスプーン
ミル:豆を挽く器具
ドリッパー:底に小さな穴が開いており、コーヒーを抽出する際に使うカップ状の器具
ペーパーフィルター:ドリッパーに設置し、コーヒーのろ過を促す紙製のフィルター
サーバー:抽出したコーヒーを受ける器

必要な道具が一式になったドリップセットなども販売されています。
ミルの用意がないときは、コーヒー専門店で豆を挽いてくれることがあります。
準備がない場合は頼んでみてはいかがでしょうか。

●豆を用意する
苦味や酸味の強さなどに注目し、自分の好みに合う豆を準備しましょう。
選ぶ豆の種類が一つの場合はストレート、複数の品種を組み合わせるのはブレンドといいます。
それぞれの豆が持つ特徴的な味わいを楽しみたいときはストレートコーヒー、複数の豆を組み合わせて甘味や苦味を好みの味わいに調整したいときはブレンドコーヒーというふうに、お好みで選んでみてください。

●豆を挽く
ミルで豆を挽き、粉状にします。
ミルには電動と手動の両方があり、電動タイプは時間をかけずに簡単に挽くことが可能です。
手動は挽くのに手間がかかる半面、電動タイプに比べて長く香りを味わうことができます。
粉砕後は酸化が進むため、必要な量のみを挽きましょう。
豆の量の目安は、カップ1杯分につき10~12g程度です。

●ドリッパーにセットする
ドリッパーは、お湯を注ぐ際にコーヒーの粉をろ過する役割があります。
自宅の場合、ハンドドリップでペーパーフィルターを使用するのが一般的です。
ペーパーフィルターを広げて、ドリッパーとの隙間ができないように設置しましょう。
フィルターをセットしたら、粉状にした豆を入れます。

●蒸らす
粉の上に20㏄程度のお湯を注ぎ、20秒ほど待って全体に浸透させます。
サーバーにお湯が数滴落ちるくらいがちょうど良い分量です。
また、沸騰した後に少し冷ました95℃くらいのお湯を入れましょう。
沸騰したお湯は豆の苦味や渋味を引き出しやすく、雑味が強くなるからです。

●抽出する
コーヒー粉の中心から外側に向かって、くるくると円を描くようにお湯を注ぎます。
3回に分けてお湯を注ぎ、1投目を多めに入れ、2投目、3投目は少しずつ減らしていきます。
水面が全体のうち3分の1程度減ったら次のお湯を注ぎましょう。

抽出する際のお湯の温度は、75℃以下にすると酸味が、95℃以上のときは苦味が強調されやすくなります。
ポットは、ドリップ用に販売されている注ぎ口の細いタイプが適しています。
やかんなどを使用すると一度に多くのお湯がかかってしまう可能性があるため、注意が必要です。

ドリップコーヒーに適した水とは?

ドリップコーヒーを淹れる際の水にもこだわると、微妙な味の違いが生まれることがあります。
ドリップコーヒーに適した水をご紹介します。

●軟水と硬水で異なる味わい
軟水か硬水かで、コーヒーの味わいは変化します。
希望の飲み方や豆の種類に応じて使い分けてみると良いでしょう。

・軟水
クセがなく、豆本来の味や酸味を引き出しやすい水です。
日本の水は、水道水・ミネラルウォーターにかかわらず、軟水が多いとされています。
コーヒーに軟水を使うと、雑味が出にくくなります。

・硬水
コーヒーの苦味が際立ちやすく、エスプレッソなどに合う水です。
欧米やヨーロッパなどでは、硬水が一般的に使用されています。
使用する品種によっては、豆本来の風味が変わってしまうことがあるため、試し飲みをして味を確認してみると良いでしょう。

●水道水は沸騰させて使う
水道水には塩素が入っており、そのまま飲むとカルキ臭さを感じることがあります。
十分に沸騰させると塩素を軽減できるため、コーヒーの抽出にも使用できますが、基本的にはミネラルウォーターを使ったほうが味は良くなるでしょう。
水道水を使う場合は、浄水器を設置すると雑味がろ過されるため、カルキ臭さが気になるときは試してみてはいかがでしょうか。

●沸かし直した水は避ける
水を何度も沸かし直すと、二酸化炭素が飛び、味が損なわれていきます。
汲み置きした水も同様です。できるだけ新鮮な水を使用することを心がけましょう。

ドリップコーヒーを美味しく淹れるコツ

一手間加えるだけで、ドリップコーヒーの味はどんどん美味しくなります。
ドリップコーヒーを美味しく淹れるために押さえておきたいコツをご紹介します。

●十分に蒸らす
コーヒーの粉は、30秒~1分前後の時間をかけてよく蒸らします。
蒸らすことで粉同士の間に隙間ができ、豆の成分が十分に引き出されるため味わいが深くなるからです。
お湯が粉全体に染み渡り泡が立ち始めるまで待ちましょう。

●豆にこだわる
ドリップコーヒーは、インスタントコーヒーと比べて深い香りやコクがあります。
豆から挽くため、インスタントコーヒーとの差は歴然です。
コーヒー豆の専門店に行くと、手軽に世界の豆を購入できます。
豆に詳しい販売員に「酸味が強い豆が欲しい」「コクのある味にするには?」など、豆の味やブレンドの仕方についてなど、気になることを相談して選ぶと良いでしょう。

コーヒー豆の代表的な種類には、ジャマイカ産の苦みやコクなどのバランスが良いブルーマウンテン、タンザニア産の柑橘系の酸味が特徴のキリマンジャロ、エチオピア産のライトな風味のモカなどがあります。

●焙煎度にこだわる
コーヒーは焙煎度が深くなるほど酸味が弱まり、苦みが強くなります。
焙煎度は大きく3つに分けられ、浅炒り、中炒り、深炒りがあります。
それぞれの焙煎度はさらに細かく分類されており、もっとも浅煎りのライトローストから極めて高焙煎のイタリアンローストまで8段階設けられています。

ただし、ライトローストなどの浅炒りは香りが薄かったり青臭さが残ったりして、飲料用にはあまり適していません。
一般的にカフェで提供されるコーヒーは、中炒りのハイローストや深炒りのシティローストなどが主流です。
深炒りのフレンチローストやイタリアンローストは、エスプレッソやウインナーコーヒーなどに用いられます。
さまざまな焙煎度の豆を試し、自分の好みに合う味わいを見つけるのも、コーヒーファンの楽しみの一つといえるでしょう。

ドリップコーヒーを淹れて、自宅で素敵なカフェタイムを

ドリップコーヒーを淹れるときは、豆や抽出の仕方にこだわることで、インスタントコーヒーや缶コーヒーとは異なる深い味わいを感じることができます。
豆選びから、使用する水、お湯の注ぎ方まで、ドリップコーヒーを美味しく淹れるポイントは多岐にわたります。
ドリップコーヒーの淹れ方のコツを覚えて、自宅で本格的なコーヒーを楽しんでみてはいかがでしょうか。