乾燥が気になる季節

秋から冬にかけて気温が下がっていくと、空気中の水分量が少なくなり、乾燥シーズンの到来となります。さらに、屋内でエアコンなどの暖房を使用すると湿度が下がり、より空気が乾いた状態になります。
空気が乾燥してくると、肌がカサカサしてきたり、粉っぽくなったり、肌の乾燥も気になりますよね。また、乾燥していると風邪を引きやすくなるなど、体調管理にも気をつけたいところです。
今回は秋・冬の乾燥によって引き起こされるトラブルとその対策についてみていきたいと思います。

 そもそもなぜ乾燥するの?

 空気は気温が高い時はたくさんの水分を含むことができますが、気温が低くなるにつれ含める水分量は減少します。このため、気温が下がっていく季節は、外気の湿度も下がり、乾燥してしまうのです。

ここで湿度とは、水分量/飽和水蒸気量(空気中に含むことができる最大限の水分量)で表されます。飽和水蒸気量は温度が高ければ大きくなります。なので、冬に室内で暖房を使用すると、飽和水蒸気量は増えるのですが、室内の水分量は変わらないため、より乾燥した状態となるのです。

また、冬になると「西高東低」という言葉を耳にすると思います。日本列島を挟んで、西にシベリア高気圧、東にアリューシャン低気圧という気圧配置になると、-30℃から-50℃の寒気が日本列島に吹き付け、日本海側に雪を降らせます。その後、寒気は山を越えて太平洋側に降りていくのですが、日本海側で雨や雪を降らせて水分を放出しているので、とても乾いた冷たい空気となっているのです。そんなわけで、冬は太平洋側の方がより乾燥した状態になります。

 乾燥によるトラブル

では、乾燥によって引き起こされるトラブルについてみていきましょう。
・肌荒れ・乾燥肌
 秋の初めは、夏の紫外線によるダメージが残っているところに空気も乾燥してくるので、肌トラブルが目立ってくる時期です。保水力が衰え、乾燥肌になってしまうのは、肌の「バリア機能」が低下してしまうためです。  肌(皮膚)の表面には角質層と呼ばれる部分があり、角質層の表面は、皮膚から出るわずかな水分や脂分でできた天然のクリーム覆われています。角質層の細胞の間は、セラミドなどを主成分とした細胞間脂質で満たされています。このような構造が、肌を刺激から守り、肌の水分も保つ「バリア機能」を果たすのです。 しかし、秋から冬にかけて、紫外線によるダメージや寒さによる新陳代謝の弱まりよってバリア機能が低下してしまいがちです。そこに空気の乾燥によって体内の水分が蒸発しやすい状態になると、肌荒れや乾燥肌という症状になって表れてしまうのです。

・風邪・インフルエンザ
  空気が乾燥しているときは、風邪やインフルエンザにも要注意です。肌と同じように、乾燥によって鼻やのどの粘膜も乾燥しやすくなります。粘膜が乾燥していると炎症を起こしやすくなり、風やインフルエンザのウィルスを防御する力が衰えてしまいます。 また、空気が乾燥していると、せきやくしゃみによる飛沫が空気中を漂いやすくなるのです。

・脱水症状
  脱水症状というと夏のイメージが強いですが、乾燥が進む秋・冬シーズンも気を付ける必要があります。肌のバリア機能の低下により、皮膚からの水分蒸発が進むので、体内の水分が減少しやすくなります。また、呼吸の際にも水分は失われ、のどが渇きやすい状態になります。 そして、夏ほど汗をかかないということもあり、水分補給を怠りがちになり、その結果、脱水症状になってしまうこともあるようです。

 乾燥トラブルを防ごう!

それでは、日常生活の中でできる乾燥トラブルを予防する手段をみていきましょう。

(1) 乾燥対策
暖房や冷房を必要以上に使用せず、室内の温度・湿度を適度に保つようにしましょう。 加湿器を使ったり、濡れタオルを干したり、鍋に水を張ったりすることで、室内を加湿することができます。観葉植物を置いたりするのも良いでしょう。 また、エアコンやファンヒーターの温風を直接体に当てない、コタツや電気毛布など肌に直接触れるものは長時間使わないなど、暖房器具の使い方を工夫することも有効です。

(2) 肌トラブル予防
なるべく熱いお湯の入浴は避けましょう。肌の表面の皮脂が溶けて、肌が乾燥しやすくなってしまいます。洗浄力の強い洗顔料の使用やタオルでのこすり過ぎにも注意しましょう。お湯の温度は40℃以下に設定し、入浴後は保湿クリームなどを使ってケアすることをお勧めします。

(3) 風邪予防
屋外やとくに乾燥が激しい場所に行く場合は、マスクの着用が有効です。マスクを着用することでのどの乾燥を防ぐとともに、空中に漂うウィルスを吸い込む確率も下げることができます。 それから、こまめな水分補給ものどの乾燥対策に有効です。寒い時に冷たい水を飲んでしまうと内臓を冷やしてしまうので、常温の水を取るようにしましょう。

 規則正しい生活

最後に、基本的なことになってしまいますが、栄養バランスの取れた食事、質の良い睡眠、適度な運動といった規則正しい生活をすることも大切です。
乾燥が気になる季節であっても、日ごろからできる対策を取り入れて、元気に過ごせるようにしましょう。