その症状、風邪じゃないかも?

夏から秋に季節が変わるころ、急に暑さがぶり返したり、朝晩は涼しく日中との寒暖差が大きかったり、温度変化による身体への負担が大きくなる時期です。夏気分が抜けきれず半袖で出かけて、夜にひどく寒い思いをしたという方も多いのではないでしょうか。 この時期に、鼻水やくしゃみ、頭が重いなど、「風邪かな?」と思ったことはありませんか。風邪の引き始めのような症状なのに熱はなかったり、でも症状は長引いたり。ゆっくり休んで静養しても、かぜ薬を飲んでみても、なかなか症状の快方に向かわないといった方もいます。

その症状、実は風邪ではなく、花粉症かもしれません。 花粉症とは花粉を吸い込んだりすることで、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状を引き起こす「アレルギー性鼻炎」のひとつです。風邪と似た症状もありますが、主に以下のような特徴があります。

・鼻水が透明でサラサラである
・目が痒く、涙がでることもある
・発熱はあまりない(あっても微熱程度)
・晴れた日に症状が強くでる
・くしゃみが止まらない
・朝と晩に明確に症状が酷くなりやすい

 春だけじゃない、花粉症!

花粉症の季節といえば春、スギやヒノキの印象が強いですが、花粉は春だけでなく1年を通して飛散し、花粉症を引き起こしているのです。そして、スギ花粉症患者の7-8割の人は、別の花粉によるアレルギーも高確率で発症すると言われています。そういう方は、「秋の花粉症」も要注意!

秋は実りの秋と言われるように、植物にとっても繁殖の季節です。
夏から秋にかけて花粉の飛散シーズンを迎える植物には、キク科のブタクサやヨモギ、アサ科のカナムグラなどがあり、主な生息場所は、道端や公園、河川敷などの身近な場所が多く、どこにでも見ることのできる雑草です。 日本ではスギやヒノキに次いで多いのがブタクサの花粉症と言われています。 ヨモギは草餅の材料にも使われているため、花粉症に結び付けられるようなイメージがありませんが、繁殖力は非常に強く、特に9月のピーク時は注意が必要です。

これらの雑草は、アレルギー原因の認知度として低いですが、秋に注意が必要な植物になります。また、スギ花粉は秋にも少量の花粉が飛散することが。スギの花粉は秋から冬にかけて作られているため、その花粉が少し洩れだしてしまうこともあるのです。花粉に凄く敏感な人は、ほんのちょっと洩れ出るだけのスギ花粉にも反応してしまいますので、特に対策が必要です。

 秋の花粉症対策

花粉症の対策としては、花粉を吸わない、身体に取り込まないということが大切になってきます。それでは、普段の生活の中でできる対策・予防方法を見ていきましょう。

(1) 原因植物に近づかない
 秋の花粉症の原因となるブタクサやヨモギなどの雑草は背丈が低いのが特徴です。上空の強い風に運ばれて数キロ先まで飛散する春のスギとは違い、その花粉は数十~数百メートルしか飛散しません。原因となる雑草に近寄らないだけでも十分予防になり得ます。 河川敷や草原など、雑草が多く茂っている場所を避けるようにしましょう。

(2) マスク
外出時にマスクを着用し、鼻・口をガードしましょう。マスクも適切なサイズのものを選び、正しい着用の仕方をマスターすることが大切です。また、秋の植物の花粉は春のスギ花粉などと比べると粒子が小さいので、マスクの内側にガーゼを当てるなどするとより効果的です。

(3) 衣類の花粉をよく払う
家の中に花粉を持ち込まないよう、外出先から帰ってきた際や洗濯物を取り込んだ際には、衣服の表面についた花粉をよく払いましょう。現在の住宅は気密性が高いため、服に付着していたアレルゲンや埃等が舞い、吸い込む確率が高くなります。玄関マットで靴をふき取りる、一番外側の服を持ち込まない、花粉が付着しにくい化学繊維や表面のツルツルした服を着る、といった方法も効果的です。

(4) うがい・洗顔
うがいをすることで、のどに流れた花粉を除去しましょう。洗顔を行うことで、顔についた花粉も落とせば、より効果的です。

(5) 空気清浄機
最近では花粉やハウスダストを除去してくれる高性能な空気清浄機が登場しています。室内に入ってくる花粉を完全にシャットアウトすることは難しいので、最新の機器に頼ってみるのもいいですよね。

 おわりに

夏の終わりから秋にかけての花粉症は、春の花粉症に比べてまだまだ認知されていないことが多いです。風邪かなと思いこんで、症状がなかなか改善せず、悪化させてしまうことも。おかしいなと思ったら、医療機関を受診してみることをお勧めします。
花粉症の原因となる植物や、花粉の飛散時期・特徴を知っておくことで、対策や予防を取ることができます。春の花粉症が辛い方は、特に注意して対策を実践していくと良いでしょう。
そして、日頃から規則正しい生活、バランスの取れた食生活を心がけ、免疫機能を高めておくことも大切です。