久保田 絵美さんインタビュー

User voice
今を輝く女性のインタビュー
interview_6
久保田 絵美
ソプラノ歌手

静岡県出身。東京藝術大学音楽学部声楽科を卒業後、ザルツブルク国立大学院を首席で修了。モーツァルト歌手として理想的な歌声と評される。

ソプラノ歌手として、国内外で活躍中の久保田絵美様。親族には音楽家が一切いない環境の中、18歳で音楽の道を志すことを決意し、東京藝術大学を経て単身で渡欧。オーディションに挑戦して自らの道を切り拓いてこられた久保田様に、これまでの歩みや今後の夢を語っていただきました。

音楽には人の心を動かす力がある

音楽には
人の心を動かす力がある

歌に興味を持ったきっかけは何ですか?

久保田:中学生の頃、病気で入院していた父のために何かできることはないかと考え、病院で「浜辺の歌」や「この道」などの日本の唱歌を歌ったことがあったんです。父は私たち家族の記憶をなくしている状態だったのですが、私が歌うと誇らしげな表情を見せてくれて。父と同じような病状で入院中の方々も涙を流して喜んでくださって、音楽には人の心を動かす力があると実感しました。

当時から音楽がお好きだったのですか?

久保田:母が家族旅行の代わりにと、年に1~2回、ミュージカルやコンサートのチケットをプレゼントしてくれたんです。東京まで一人で観に行って涙が出るほど感動し、「いつかは自分も舞台に立てたらいいな」と思ったのですが、その時点では自分が歌手になるとは思ってもみませんでした。

自ら行動したことでめざすべき道が見えた

自ら行動したことで
目指すべき道が見えた

どのような経緯で歌手を目指すことに?

久保田:高校3年生の夏に、地元にオペラ歌手の方がいるということを知り、勇気を振り絞って「私の歌を聴いていただけないでしょうか」と電話をかけてみたことが全ての始まりでした。父が元気だった頃に「歌をやりたいのなら、きちんとした先生に師事したほうがいい」とアドバイスしてくれたことがあって、そんな父の想いが背中を押してくれたのかもしれません。
幸運にもそのオペラ歌手の方に歌を聴いていただけることになって、言われるままに10分くらい発声練習をしてみたところ、「藝大を目指しなさい」と言われ、18歳にして音楽の道を志すことを決意しました。

知識も経験もゼロからのスタート

知識も経験も
ゼロからのスタート

東京藝術大学といえば、日本で唯一の国立の総合芸術大学。入試は狭き門です。

久保田:藝大の音楽学部を目指すのは音楽の英才教育を受けてきた人がほとんどなので、何も習ってこなかった私がいきなり受験しても、合格できる見込みはほぼありません。そこで、まずは一般の大学に進学し、楽器屋に並んでいる音楽の教本を端から端まで全て暗記するつもりで、大学の講義以外の時間は音楽の勉強に打ち込みました。
歌以外にもピアノやソルフェージュなど、さまざまな音楽の素地をみる試験の対策が必要で、初めての個人レッスンでは小学1年生レベルの課題が解けなかったことも。受験対策には2年を要し、藝大に合格できたのは20歳のときでした。

芸術が根付いた海外での経験が転機に

芸術が根付いた
海外での経験が転機に

藝大から海外の大学院に進まれたのはなぜですか?

久保田:大学3年生の頃、とにかく音楽を仕事にしたいと思い、クラシックの本場であるヨーロッパの各都市をバスで回りました。そこで目にしたのは、数多くの国立の歌劇場やコンサートホールがあり、芸術家が国家公務員として勤めることができるという、日本とは全く異なった芸術のあり方でした。芸術が人々の生活に根付いている環境の中で自分の可能性を試したくて、単身で渡欧することを決意し、大学卒業後はザルツブルグの大学院に進学しました。

留学生活はいかがでしたか?

久保田:大学院の同級生たちは皆、国籍が違い、3か国語くらいは当たり前のように話せる人ばかり。校舎に日本人は一人きりという状況で、ドイツ語でのコミュニケーションすらままならない私は、毎日トイレで泣いているような日々でした。でも、自分が海外で仕事をしたくて選んだ道なので、日本に帰ろうと思ったことはなく、家族には電話をすることすらありませんでした。

オーディションでの挫折を乗り越えて

オーディションでの
挫折を乗り越えて

そこからどのようにして歌手になられたのですか?

久保田:スーツケース1つを抱えて、ヨーロッパ中にオーディションを受けに行きました。12時間かけてバスで向かい、3分間だけ歌って終わりということもあり、毎日がトライ&エラーの連続。でも、歌そのものを好きだと思う気持ちが常に私の支えとなり、挫折したときも歌うことが救いでした。渡欧して2年目の秋に主役としてデビューするチャンスをつかみ、以降は少しずつ、演目ごとに客演という立場で契約して歌わせていただけるようになりました。

ジャンルの枠を超え歌の世界を広げたい

ジャンルの枠を超え
歌の世界を広げたい

歌手の仕事で心がけていることは?

久保田:お客様に喜んでいただけるよう、できる限りの準備をすることです。準備のうち、実際に声を出して歌う練習をする時間は2割程度で、それぞれの場に合った選曲をしたり、歌曲の背景や歴史を調べたりするために費やす時間が多いですね。発音を完璧なものに近づけるため、外国語の練習も欠かせません。

仕事でこれから実現したいことは?

久保田:オペラ歌手の世界は50代、60代になってようやくキャリアが認められるという世界なので、一生をかけて研さんを重ねていく覚悟が求められます。私も歌うことに関しては勉強中の身ですが、20代でドイツと日本の芸術のあり方の違いを目の当たりにしたことで、日本の人々にもっと芸術を身近に感じてもらえるような活動をしたいと考えるようになりました。
現在は劇場だけでなく、病院や学校などで歌わせていただくこともあり、歌うことを通じて社会とつながっていきたいという思いも強くあります。今後は日本の演劇やミュージカル、伝統芸能などともコラボレーションすることで、歌の世界をさらに広げていきたいですね。

体調管理の意識はアスリート並み

体調管理の意識は
アスリート並み

歌い続けるために心がけていることは?

久保田:声楽は、さまざまな音楽の中で唯一、自分の中にある楽器を使って奏でる音楽です。オペラであれば4,000人規模のホールでもマイクを使わずに、小指の爪ほどの大きさの自分の声帯だけを使って声を響かせなければなりません。そのためにはアスリートのような体調管理が求められるので、日頃からお酒は飲まないようにするなど、節制を心がけています。のどにやさしい飲み物を選ぶことも意識していて、ルイボスティーは本番前にもリラックスタイムにもよく飲んでいます。

満たされるひとときを

満たされる
ひとときを

ルイボスティーのどんなところがお気に入りですか?

久保田:ルイボスティーはノンカフェインでクセがないので、1日中どの場面でも気軽に飲めるところがいいですね。夏はアイス、冬はホットにして、外出時にもタンブラーに入れて持ち歩いています。心地良い香りも好きですし、琥珀色のきれいな色も見ているだけで心ときめく感じがして気に入っています。
これから本番というときに気持ちを切り替えるために飲むこともありますし、仕事を終えてほっと一息つきながらゆっくりと味わうことも。どんなときに飲んでも満たされる感じがするのは、ルイボスティーならではの魅力だと思います。歌手という仕事は生活のあらゆる場面での経験が表現するための糧になるので、これからもルイボスティーと一緒に満ち足りた時間を重ねていけたらいいですね。